ものもらい(霰粒腫・麦粒腫)の治療について
ものもらいの治療にはさまざまな選択肢があります。以下にその内容を詳しく述べます。どの治療も一長一短ですので、よくご理解の上で主治医と相談されることをお勧めします。
1. 内科的治療(点眼、内服)
抗菌薬の点眼が中心となります。病変の主体が皮膚側である場合は、点眼薬の効果が不十分となるので抗菌薬眼軟膏も使用します。腫れや痛みが強い場合は、抗菌薬、消炎鎮痛薬の内服を併用します。抗菌薬は通常、ニューキノロン系を使用することが多いのですが、効果が不十分な場合は、マクロライド系の点眼・内服を処方することがあります。
長所
- 治療に伴う痛みなどがない
- ほかの治療と併用することができる
短所
- 治療に時間がかかったり、腫瘤の吸収が不十分なことがある
- 定期的な点眼、内服が必要
2. ステロイド注射
内科的治療で効果が不十分な場合、とくにしこりが長期にわたって残る場合には、まぶたにステロイド(ケナコルト®)の注射をして吸収を促す治療が選択肢になります。この治療は、手術による切開と比べると治癒までの時間はかかりますが、手術と違い短時間で済み、後の腫れも少なくで済みます。注射に際しては、局所麻酔薬を同時に使用して痛み少なくして済むようにします。
<治療の手順>
処置用の椅子であおむけに横になり、まぶたと目の中を消毒後、手術用顕微鏡を用いて内側よりステロイドと局所麻酔薬を混ぜた薬剤を注射します。注射後は、数分間まぶたを圧迫して腫れを抑えて終了します。ご希望があれば1日眼帯をします。注射後は、翌日もしくは数日後に診察します。
長所
- 治療後の腫れや出血が少ない
- 内科的治療より治癒までの期間が少ない
短所
- 注射に伴う痛みがある
- 注射部位に薬剤の白い粒がしばらくの間見えることがある
- 眼圧が上がることがあるので、薬剤吸収までの期間(約1か月)1、2週間ごとの通院が必要
3. 外科的切開
病変部を切開して内容物を出す治療です。腫瘤が大きい場合は、周辺の組織(瞼板)の切除も併用します。通常は、手術後の傷が残らないようにまぶたを翻転して(ひっくり返して)内側より切開します。腫瘤が皮膚側に突出している場合は、皮膚側よりの切開が必要となりますが、手術後にまぶたに切開痕がしばらく残ることがあるのであまりお勧めしません。
<手術の手順>
局所麻酔薬を点眼したのち、処置用椅子に横になります。まぶたと結膜を消毒した後、清潔な布で目の周りを覆います。まぶたの皮膚側と内側より局所麻酔薬を注射します。出血を抑えるために切開部をはさむ器具をつけ、小さなメスで病変部を切開します。まぶたがはさまる感じがしますが、切開に伴う痛みはありません。腫瘤の内容物(液状〜粥状)をかき出し、必要に応じて周辺組織の切除も行います。手術時間は約5分ぐらいです。終了後は身体を起こし、術後の出血や腫れを抑えるために、まぶたの上から冷却材を入れたガーゼで5分ほど圧迫します。抗菌薬軟膏を入れて翌日まで眼帯をします。
当日から数日間、抗菌薬と消炎鎮痛薬の内服を行い、翌日からは点眼薬をしばらくの間使用します。当日は眼帯をしたままで就寝し、眼帯は濡らさないようにします。当日の運動と飲酒は控えてください。翌日受診していただき、眼帯を外して病変部位を確認します。問題がなければ1週間以内に受診していただきます。それまでの間、手術を行ったまぶた、特にまぶたの縁へのお化粧は控えてください。
長所
- 治癒までの時間が短い
短所
- 腫瘤の全てが取り除かれるわけではなく、術後1、2週で吸収される
- まぶたの腫れや時には皮下出血が少しの間続くことがある
4. IPL治療
IPLは、Intensive pulse light の略で、強い光を短時間照射して、局所の温度をあげて炎症を抑える治療です。皮膚科やエステサロンでしみや薄いとり肌のハリを改善したりする目的で行われています。眼科では、より小さなヘッド(先端)を装着して専用のフィルターを付けて照射することで、まぶたにあるマイボーム腺の機能を回復させる治療として厚生労働省の認可も得ています。このIPLによって、ものもらいの吸収を促し、再発を減らす効果があることが報告されています。
<治療の流れ>
照射部位のお化粧を落としていただき、処置用椅子に横になりまぶたの周りにジェルを塗ってから照射を受けます。ものもらいに対しては目の周りに10〜15発程度IPLを照射します。照射時には眩しさと軽い痛みが生じることがあります。照射後は、専用の器具でマイボーム腺内に溜まった油を押し出します。
その後数分間まぶたを冷やして終了です。処置後しばらくは、紫外線を避けていただく必要があります。効果は徐々に表れてきますので、数週ごとに3回程度繰り返して受けていただくことをお勧めします。
長所
- 注射や手術に比べて痛みなどがない
- まぶたの周りのハリが整う
- 処置後もマイボーム腺の機能の改善が持続し、ものもらいの再発を減らす効果がある
短所
- 手術に比べて即効性がない
- 自費診療となるので、1回につき 8,000円(3回では 20,000円)がかかる
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