低濃度アトロピン点眼薬による近視進行抑制治療
近視の進行を抑制することが大切な理由
近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じます。一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視進行を抑制するために重要となります。
近視の程度が強くなるほど黄斑変性、網膜剥離、緑内障などの発生が成人になってから増えることが報告されており、実際これらの「病的近視」は、わが国における失明原因の第5位を占めています。近視の進行抑制により、将来的な高度近視に伴うリスクを減らすことが可能になることが期待されています。
低濃度アトロピン点眼薬が選ばれる理由とは?
低濃度アトロピン点眼は、近視の進行を遅らせる(眼軸長の伸展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の一つです。最適な濃度のアトロピンを配合する事により、近視の進行スピードを抑え得ることが示されています。近視の進行が完全に止まるわけではありませんが、少なくとも2年間継続して使用することで何もしない方と比べ近視の進行を軽減できたという報告を基にしています。
- この治療は視力を回復させるものではありません。
- 本治療を行った場合でも、近視の程度に応じて眼鏡等での視力矯正が必要となります。
低濃度アトロピン治療薬の処方に関する注意点
リジュセアミニ点眼の処方目的での検査、薬剤処方などの一連の診療行為はすべて自由診療(自己負担)になります。日本眼科医会などの指導により、低濃度アトロピン点眼中の、視力検査、眼鏡処方やコンタクトレンズ処方など近視に関する診療には保険診療が使えず、自費診療で行います。花粉症やものもらいなど、近視ではない病気で受診する場合には同日でも保険診療が可能です。
低濃度アトロピン治療薬の対象
近視と診断され、治療に影響を及ぼす可能性のある他の眼疾患がない方が対象となります。年齢は、5歳以上が一つの目安です。治療終了年齢に決まりはありませんが、18歳程度まで継続することが望ましいと言われています。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%の特徴
- 毎日就寝前に1滴点眼するだけの簡単な治療法です。点眼後は瞳孔が開いてピントを合わせる機能が落ちるため、日中には付けないでください。
- 各容器(1本・5mL)は両眼用に1ヶ月間の使い切りとなっています。
- 従来は、シンガポール国立眼科センター(SNEC)の研究に基づいて開発された点眼薬マイオピン(Myopine™)を、代行会社を経由して海外から輸入して使用しておりましたが、日本初の低濃度アトロピン点眼薬「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」が2024年12月に承認され、2025年4月から販売が開始されました。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%の安全性について
- 起床時にアトロピンの効果が残って眩しさや手元の見づらさを感じることが約10%の人に起こります。その場合でも、数時間でほぼ正常な状態に戻りますが、症状が強い場合はご受診ください。
- まれにアレルギー性結膜炎、眼瞼炎が起こることがあります。
- 全身性の副作用はほとんどありませんが、稀な合併症として、頭痛、多汗が報告されています。
- 近視が進行している年齢でリジュセア点眼を中止すると、その後の近視の進行が早まる可能性があることが報告されています。
治療スケジュールと費用
検査後、適応と判断されれば治療開始となります。副作用等がなく、治療継続に問題なければ、定期的に効果をモニタリングします。初回治療開始後、2回目は約1か月後、その後は約3か月を目途に定期的な通院が必要となります。薬は院内でお渡しします。
全て税込み価格
初回 | 診察・検査費用(4,400円)+ 点眼薬費用(4,380円/月)= 8,780円 |
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2回目以降 (初回から1か月後、その後3か月ごと) |
診察・検査費用(3,300円)+ 点眼薬費用(13,140円/3か月分)= 16,440円 |
3回目以降 (2回目から3か月ごと) |
診察・検査費用(3,300円)+ 点眼薬費用(13,140円/3か月分)= 16,440円 |
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